八十五歳で乳ガンの手術を受けたMさん

「さくら」の入居者で今八十九歳のMさんは、八十五歳の時自分で乳ガンを発見し、病院で先生に「高齢でもあるし、薬とコバルト治療で様子を見ょう」と言われましたが、一日も早く元気になりたいので手術をして欲しい、と言って先生をびっくりさせた人です。
希望どおり手術をし、成功して今もたいへん元気です。そのMさんに手術の後しばらくして、
「傷が乾くとそこが引き吊って痛い。何とかならないだろうか」という相談を受けました。私はこれまで、ハーブで傷をなおしたと言う人の話も聞いていましたので、早速馬油にハーブのエッセンシャルオイルを何種類か混ぜ、傷が乾かないように少しずつ塗ってみるようすすめました。
Mさんが早速試してみると、あらあら不思議、だんだん楽になってきたと大喜び、今では傷跡もきれいになりました。また、体にハーブの香りが染み着いていて、Mさんが道を歩くと、すれ違った人が「いい香り」と、振り返ることがときどきあるそうです。
また、このところ「さくら」を見学に訪れる方が増え、その人達がよく壁に飾ってあるクラフトを見ては、
「きれいねー、どうやって作るのですか」とか、また、
「ハーブはどのようにお料理に使うのですか」などと聞かれると、私もつい黙っていられずに、
「これはアスパラに似ていますが、フェンネルと言って魚料理にとてもよく合うハーブです。フィッシュハーブとも呼ばれています。肉にはタイムをつけて焼けば風味がよくなります。ハーブティーは、レモングラスにレモンパームをいれると味がまろやかになります……」などと、ひとしきりハーブの講釈をすることになります。
近ごろでは、私の講釈を隣で聞いていたSさんが、
「ローズマリーは若返り、物忘れにも効きます。化粧水にもよく使われています」などと口をはさみ、見学の若いお嬢さん達をびっくりさせています。
今ではハーブは「さくら」の生活に欠かせないものとなっています。

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