一人暮らしと共同生活

佐藤久良子(七十九歳)

オーナーの小川さんからグループハウスの話を聞き、入居のさそいがかけられたのは、夫の死後、一人暮らし数年目でした。
暮らしもいろいろ変わり、一人暮らし、息子の家族との同居、また一人と繰り返していたときでした。
女の一人暮らしは体力も能力もあって、自由に仕事も社会生活もできる時だ、とそろそろ気づき限界も見えてきた頃です。
体調も気力も崩れはじめ、この際、他人と暮らすのもよいかも知れないと思い始めました。
まだ出来上がらない建物の構造も見せてもらい、部屋の日当たり、明るさなども見て、さらに自分なりの条件もだして受け入れていただいたので、息子達に相談してふみきりました。
七年目を迎え、入居者六人の気心も分かり、何でも言い合えるようになりました。独りでいると気ままで、生活のリズムも乱れがちになるが、集団はそこがいいところ、少々朝がきっくても、床を離れて「おはよう!」と元気よくみんなと顔を合わせれば、気持ちもしゃんとします。
「タベはよく眠れた?」
「風邪はどうですか?」
と声を掛け合い、一日が始まり、それぞれで朝の支度をし、オーナーからメインのお菜が届けば朝食がにぎやかに始まり、片づけは三日ずつの当番制を代わりあって、上手にこなせるようになりました。
あまり手を出さなかった料理も、だんだん腕が上がり、時にはほめられたり苦情もでたり、家族のしがらみのない、共同生活のひと味違った楽しさがあります。
暮らしや健康の知恵、旅のこと、歌や芸能のこと、独りでは考えられなかったハッとするようなことが雑談の中で教えられたりする、そんな集団の豊かさ――みんなで作り上げていけばボケもこわくない。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

コメントは利用できません。

2020年10月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

関連記事

  1. 一人暮らしと共同生活

    佐藤久良子(七十九歳) オーナーの小川さんからグループハウスの話を聞き、入居のさそいがかけられたの…
  2. 資金の調達と設計依頼

    前にも述べましたように、私はわが家の建て替えに合わせて、高齢者との共生の家を建設しようと考えていまし…
  3. あとがき

    一九九七年六月、母の十三回忌法要のため、姉兄妹で函館に行ってきました。祖母が昔流の願掛けお百度詣りの…
  4. 六人の入居募集に六十四人の応募

    工事もいよいよ終わりに近づき、完成の日どりもぼちぼち見えてきた頃、入居者を決めました。入居者の募集は…

ピックアップ記事

  1. 夕食はボランティアさんの手で

    夕食は有償のボランティアさんが、自宅でつくって届けてくれます。ボランティアさんが都合でできないときに…
  2. 国の「高齢者グループリビング支援モデル事業」の第一号に-問い合わせ電話殺到!

    「さくら」が厚生省の「高齢者グループリビング支援モデル」の第一号に指定されてから、急に周りがにぎやか…
  3. 八十五歳で乳ガンの手術を受けたMさん

    「さくら」の入居者で今八十九歳のMさんは、八十五歳の時自分で乳ガンを発見し、病院で先生に「高齢でもあ…
  4. 「さくら」にいれてもらって安心です‐小川さんの体が心配です

    奥田敏子 私は今は体が悪く入院中です。私と小川さんは、ずっと前からの知り合いです。 いつも旅行に…
  5. 一人暮らしと共同生活

    佐藤久良子(七十九歳) オーナーの小川さんからグループハウスの話を聞き、入居のさそいがかけられたの…
  6. けんかもできるうちが花

    何といっても生まれも育ちも異なり、その上、何十年と違った人生を歩いてきた人たちが一つ屋根の下で生活す…
ページ上部へ戻る